多くの製品の製造や加工を行う工場では、日々の清掃が重要になってきます。工場の清掃には、生産性の向上や異物混入・転倒事故・機械故障のリスク防止など、多くのメリットがあります。

逆に清掃を疎かにしていると様々なデメリットが生じ、工場の運営にも悪影響を及ぼしかねません。そこで本記事では、効率的な工場の清掃方法をわかりやすく解説していきます。清潔感のある工場の運営にぜひ役立ててください。

把握しておくべき「5S活動」とは

画像引用:https://www.nikken-totalsourcing.jp/business/tsunagu/column/340/

多くの製造現場で「5S活動」というスローガンが提唱されており、5Sは整理・整頓・清掃・清潔・しつけのローマ字表記の頭文字を表しています。具体的な内容は以下の通りです。

  • 整理:不要なものを処分する
  • 整頓:必要なものを使いやすい場所に置く
  • 清掃:きれいに掃除して点検を行う
  • 清潔:清潔な状態を維持する
  • しつけ:4つのSを習慣づける

5S活動は工場の適切な管理と現状を改善するための基礎として作成され、活動への取り組みが定着すれば、業務効率化や職場環境の改善に繋がります。5S活動を通じて作業環境を整えることは、生産性や安全性の向上、異常の早期発見も期待できます。

5Sの中でも職場管理の基本である「清掃」は特に重要ですので、今回は「清掃」に着目してお話していきます。

工場清掃のメリット

工場を適切に清掃することで様々なメリットを得られます。以下に挙げるメリットを1つずつ解説していきます。

  • 企業イメージの向上
  • 異物混入のリスク軽減
  • 従業員のモチベーションの向上
  • 安全性の向上

企業イメージの向上

工場には多くの来客があります。外部からお客様や取引先が訪問してきたときに、清掃が行き届いた清潔な工場であれば、工場のイメージアップだけでなく企業のイメージアップにも繋がります。

異物混入のリスク軽減

清掃道具の整理整頓や適切な管理によって清掃が行き届いた状態が維持されれば、破片や毛髪といった異物混入のリスクを減らすことができます。特に食品業界といった衛生面が重要な業種にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

製品への異物混入は製品の回収コストだけでなく、取引先や消費者からの信頼の低下にも繋がります。適切な清掃方法により企業にマイナスな影響を与え得る事態を未然に防ぎましょう。

従業員のモチベーションの向上

ごみが落ちていても当たり前のような状況では作業環境はどんどん荒れていき、大事故に繋がるリスクも膨れていきます。汚れている職場は従業員のモチベーションを下げる要因となり、仕事の生産性も下げかねません。

そこで、5Sをルールとして守る風土が生まれれば、作業環境が改善され、従業員のモチベーションが高まります。さらに離職率の低下といった副次的な効果も期待できるでしょう。

安全性の向上

資材や工具が乱雑に置かれているといった清掃や点検などのメンテナンスが十分に行われていない状況下では、作業中に思わぬ事故が発生したり、工具・機械の劣化や不具合が生じる可能性が高まり危険です。安全な環境を整え、労働災害を防ぎましょう。

工場清掃の基本

まずは工場を清掃する上で、前提として把握しておくべきことを紹介していきます。

  • 上から下へ、奥から手前へ清掃する
  • 隅や狭い所から清掃する
  • 汚れの種類・状態を理解する
  • 換気をしてから清掃を始める
  • 整理整頓をする

上から下へ、奥から手前へ清掃する

高いところから低いところへ掃除することで、ほこりや汚れが下に落ちてくるだけでなく、洗剤も効率よく使えます。また、汚れを手前に書き出すことで楽に掃除ができます。

隅や狭い所から清掃する

洗剤や道具を使うときは、広い中央から始めるとかえって汚れが目立つ可能性が出てきてしまいます。まずは、隅の方や狭い部分で汚れ落ちを確認して、その後全体を掃除しましょう。

汚れの種類・状態を理解する

汚れにも種類がありますので、汚れに対して用いる洗剤を使い分けなければいけません。工場における主な汚れは以下の3種類になります。

  • 油性汚れ
  • 不溶性汚れ
  • カビ汚れ

工場油や手垢といった油性汚れは水に溶けにくく、一度コンクリートなどに染みつくとなかなか落ちてくれません。そんな頑固な油性汚れは、洗浄力の高い強アルカリ性洗剤を使ってきれいに落としましょう。

砂・ほこり・鉄粉などの不溶性汚れには酸性洗剤がおすすめです。酸性洗剤には弱酸性と通常の酸性の2種類ありますが、工場の汚れには通常の酸性洗剤を使いましょう。

カビ汚れには塩素系漂白剤です。カビは他の汚れと異なり、根のようなものを貼っているので、奥に浸透させることのできるスプレータイプのものをおすすめします。

汚れの種類や特徴を把握して、適切な洗剤の使用や対処をしましょう。

換気をしてから清掃を始める

工場の清掃で用いる洗剤は成分が強いものが多く、従業員が身体に良くない成分を吸い込んでしまわないように常に換気が必要になります。換気をしないと乾燥にも時間がかかってしまいますので、効率面においても安全面においても換気は重要です。

整理整頓をする

掃除しやすい環境づくりには整理整頓が不可欠です。整理整頓は5Sの要素でもあり、整理整頓がされていないと掃除をするたびに物を移動させる必要があり、清掃を効率良く進められません。

ものの置き場所を決めて、使用後は定位置に戻すように徹底すると紛失の際にいち早く気付けます。加えて、置き場所に道具の名前や数を書いておくことで片付ける場所と道具の数を従業員全員が把握できます。

工場の清掃方法のポイント8選

工場特有の汚れを落とす具体的な清掃方法のポイントを一つずつ説明していきます。コツを抑えて効率的な清掃を実現しましょう。

  • R構造にする
  • 高さのあるものに注意する
  • 空間を作る
  • 床のひび割れは迅速に対応する
  • 排水桝を設置する
  • 清掃方法のマニュアルを作る
  • 道具の収納を雑にしない
  • 従業員の安全を確保する

R構造にする

R構造とは、壁と床や天井との境目が丸みを帯びている構造を指します。工場に限らず、建物の壁と天井、床との境目はごみやほこりが溜まりやすく、しかもごみが見えにくいという特徴があり、掃除しきれない可能性が高いです。


そこで、R構造を取り入れることでごみが溜まるのを防ぎ、ごみの取り残しもなくなり清掃がしやすくなります。

既存の工場の改築、または、建設予定の工場の設計変更を行うことでR構造を取り入れれば、清掃効率を上げることができます。

高さのあるものに注意する

ロッカーや棚といった高さのあるものの上にはごみが溜まりやすいです。もし、そのごみが衣服に付着したり、製品に入ったりすれば異物混入に繋がります。

高さのあるものの設置をできるだけ避けるか、高さのあるものを設置する場合は上部に傾斜をつけることで、ごみが溜まりにくく、清掃もしやすくなります。

空間を作る

室内の床や壁に接している部分にはごみが溜まりやすく、清掃にも手間がかかります。そこで、工場内にものを置く際は、壁や床との間に空間を作り、箒やモップなどが入る隙間を作っておきましょう。ブラシやモップを差し込んで清掃できる空間は約15cm、人が入り込んで清掃できる空間は約60cmと言われています。

場合によっては、清掃に十分な空間を作ることが難しいこともありますので、その際にはキャスター付きのものを活用することをおすすめします。キャスターが付いていればスムーズに動かすことができるので、清掃も楽になります。

床のひび割れは迅速に対応する

建てたばかりの頃はきれいだった床も時間が経過するにつれてひび割れが生じ始めます。小さなひび割れであっても、隙間に汚れが溜まったり、微生物や細菌の発生源になってしまいます。食品工場では細菌の発生により食中毒を引き起こしてしまうかもしれません。

工場建設の際には、高密度のコンクリートを選びましょう。ひび割れしにくく、こまめな修復にかかる時間の削減に繋がります。

排水桝を設置する

排水溝は汚水を受け止め、フィルターのように汚れを除去することで水を排出してくれますが、広い範囲で汚水を受け止めるため掃除の手間がかかり、悪臭も発生しやすいです。そこでおすすめなのが排水桝です。

排水桝は排水設備の一種で、水とともに流れてくるごみをキャッチし、水だけが下に流れる仕組みになっています。また、カゴ付きの排水桝の設置により配管の詰まりの原因となるごみを容易に取り除くことができます。さらに、トラップを設けることで防虫防鼠、悪臭対策にもなります。

工場において最も時間がかかると言われる水回りの掃除を効率化する画期的な方法ですので、ぜひお試しください。

清掃方法のマニュアルを作る

効率の良い清掃方法を従業員と共有することも大切です。持ち運びが簡単なサイズの清掃マニュアルを作成しておくと、日頃から従業員がマニュアルを見ながらこまめに清掃を行うことができるため、正しい方法で素早く清掃することが可能になります。

正しく行ってもらうことが重要なので、清掃箇所や工程、道具の手入れの仕方まで詳細に記載しておきましょう。従業員が見やすいようにイラストや写真を用いての記載や、清掃を怠ったときのリスクの記載もおすすめです。

道具の収納を雑にしない

掃除道具自体がどんなに優れていても、雑に収納されていては本来の効果を発揮できません。他の清掃道具と同じ場所に収納する、狭いロッカーや用具入れに押し込むといった行為は汚れを付着させ合い、汚れを除去する機能を低下させる恐れがあります。掃除用具にこだわるだけでなく、収納にも意識を向けるようにしましょう。

従業員の安全を確保する

工場にはたくさんの機械があったり、清掃にも強力な洗剤を使用したりするため、清掃の際には十分に従業員の安全を確保する必要があります。「これくらいでいいか」という少しの油断が大きなけがや病気に繋がる可能性は否定できません。労働災害は未然に防ぎましょう。

労働災害を防ぐグッズとして、油汚れに強いクッションマットがあります。長時間立ちっぱなしの従業員はちょっとした油汚れでも滑りやすくなっています。そこで油汚れに強いクッションマットを敷いておくことで、従業員の足の疲れを軽減しながら清掃に取り組んでもらうことができます。

まとめ

工場の清掃は、清掃方法のポイントを押さえることで効率よく行うことができ、業務の効率化や従業員のモチベーションにまで繋がります。一つの工夫で大幅な効率改善が期待できるので、本記事を参考に工場の清掃方法を見直してみてください。

工場の清掃ならキングウォーターがおすすめ

株式会社セーヌラインは、皮脂や油汚れに強い万能洗剤キングウォーター(King Water)を販売しています。

キングウォーターは、強アルカリ性で洗浄力が強いのにも関わらず、危険度の高い薬品は一切使用しておらず、安全に使用できるようになっています。

工場内でも機械だけでなく、壁の汚れ、部品洗浄、切削油の腐敗悪臭にも有効で、オールマイティに働いてくれる上、防錆効果も発揮してくれます。工場の清掃がこれひとつで済んでしまう優れものですので、ぜひお買い求めください。