飲食店経営の中でも気を付けたいのが食中毒。食中毒が発生すると、お客様への健康被害が大きいことに加え、経営にも影響を与えます。
お客さまが飲食する上で安心して楽しめるのは基本です。
ですが、食事を提供している限り、食中毒を起こす可能性はゼロにはなりません。実際に食中毒の60%が家庭ではなく飲食店で発生しているのです。
今回は、厚生労働省と日本食品衛生協会の食中毒対策資料を参考に、食中毒の基本を解説していきます。
「うちは大丈夫」なんて油断せず、改めて対策を見直してみましょう。
食中毒を起こすと
万が一食中毒が発生すると、行政により立ち入り調査が行われます。
食中毒の原因が店舗だと判明した場合、営業停止命令もしくは営業禁止処分を受けることになります。
営業停止命令・営業禁止処分までの順番
被害の拡大を防ぐために、疑われる店舗には事前通告無しで保健所からの調査が入ります。調査内容は、それぞれで異なりますが、基本的には以下のような順序で進んでいきます。
- 保健所からの連絡
- 厨房や検便など調査
- その他書類の提出、状況の聞き取り
- 判明後、営業停止処分
店舗が原因で食中毒が発症したことが分かると、3日程度の営業停止処分が下ることが多いです。食中毒の防止だけではなく、調査時の書類提出でも必要なので、普段から衛生管理を見える化しておきましょう。
お客様から損害賠償の請求が受けることも
食中毒の発生で怖いのが、お客様からの損害賠償請求もあり得ること。店舗で食中毒が発生すると、飲食代と医療費は店舗が負担する決まりになっています。
これに加えて損害賠償の支払いが発生することになり、集団感染を起こした場合数十万まで膨れ上がるのです。
営業停止処分を受け、売り上げがゼロになっているところにこの支払いが生じることになります。経営へのダメージも大きく、食中毒の発生が原因で閉店してしまうこともあり得るのです。
食中毒の原因
大きく分けると、食中毒の原因は細菌・ウイルス・寄生虫に分けられます。
JACK
そのほかにもふぐなどの動物性の自然毒やきのこのような植物性の自然毒が原因でも食中毒は起こります!
細菌が原因となる食中毒は夏場が多い
多くの細菌が増える条件には「温度」「水分」「栄養」があります。こういった条件が揃うと食べ物の中で細菌が繁殖し、その食べ物を人間が食べることで食中毒が起こるのです。
細菌は人間の体温くらいの温度で増殖スピードが最も増します。じめじめとして気温が高い季節の夏(6月~8月)は細菌による食中毒が増えやすくなるのです。
食中毒の原因となる代表的な細菌
- 腸管出血性大腸菌(O157、O111など)
- カンピロバクター
- サルモネラ属菌
- セレウス菌
- 黄色ブドウ球菌
- ウエルシュ菌
間違いやすいのが新鮮な物であれば大丈夫という認識。
これは誤解で、新鮮な食材でも細菌が付着していることがあります。
例えば、鶏の生肉などに付着しているカンピロバクターは、鮮度は関係ありません。鳥刺しや鶏のたたき、レバーなど「新鮮だから」「早く食べれば大丈夫」など、この誤解により多くの事故が発生しています。
細菌の種類やメニューに寄って、対処が異なります。
それぞれの注意点を知り、感染対策を行うことで食中毒のリスクを下げることが出来ます。
ウイルスが原因となる食中毒は冬が多い
ウイルスは細菌とは違い、食品の中では増殖しません。しかし、体内に入ると増殖し食中毒を引き起こします。
また細菌と異なり、低温や乾燥したところでも死滅しません。乾燥した空気でも長くウイルスが生存し空気中を浮遊しています。このため、ウイルスによる食中毒は空気が乾燥し寒い時期(11月~3月)が多いと言われています。
食中毒の原因となる代表的な細菌
- ノロウイルス
- E型肝炎ウイルス
ノロウイルスは嘔吐物や下痢に多く含まれています。
空気中を浮遊し感染することもあり、スタッフの感染にも注意が必要です。こういった感染経路の広さや少ないウイルスが体内に侵入しても症状が強く出るため、大規模化することも多いのが特徴です。
寄生虫
食中毒の原因には寄生虫も考えられます。
その多くが、鮮魚にいるアニサキス。非常に強い腹痛や吐き気を起こすことで有名です。
刺身など非加熱、もしくは十分に加熱がされていない状況で提供されると、アニサキスが原因で食中毒を起こす可能性があります。
日本では生食文化が根付いているため、たびたび被害が報告されています。
食中毒を予防するには
細菌とウイルスは目に見えないですが、衛生管理を徹底すれば食中毒を予防することは可能です。食中毒菌はいたるところに存在している可能性があるため、食中毒予防の3原則【つけない】【増やさない】【やっつける】を確認をしていきましょう。
つけない
まずは、菌をつけないことが重要です。
- 適切な手洗いの実施
- スタッフの健康状態の把握
- 材料の受け入れ時の管理
- 食材ごとに調理器具を分ける
- 決められた手順で決められた箇所を清掃する
適切な手洗いの実施
いくら空気中に食中毒菌が浮遊していても食品に付着しなければ食中毒は起きません。こまめな手洗いは有効で、手についた細菌が食材に付着し広がるのを防いでくれます。
食材を洗う前後、お客様の提供前、調理前後など、どれだけ忙しく面倒であっても必ず手洗いは行いましょう。
スタッフの健康状態の把握
新型コロナウイルス感染症の影響で体温の計測は一般的になりましたが、忘れていけないのが手荒れです。
食中毒を引き起こす黄色ブドウ球菌は手荒れした手指に付着することが分かっています。
発熱、嘔吐、下痢はもちろんですが、調理担当者の手荒れも確認を行ってください。
材料の受け入れ時の管理
飲食店では、ほぼ毎日食材の受け入れが発生します。
どれほど店内で気を付けていようが、この受け入れ時に食中毒の原因が潜んでいれば、意味がありません。また、食材をそのまま放置する時間が長ければ長いほど、どんどん菌が増殖する可能性があります。
商品の受け入れ場所を決め、速やかに冷蔵庫や冷凍庫で保管しましょう。
食材ごとに調理器具を分ける
生肉を扱った包丁やまな板を使用してサラダ用の野菜を切るなどの行動は非常に危険な行動の一つ。野菜用・生肉用・魚介類用・加工済み食品用など、まな板や包丁を分けるのは衛生管理の基本です。
混同しないよう、誰にでも分かりやすい管理を心掛けましょう。
決められた手順で決められた箇所を清掃する
飲食店であれば、キッチン以外にもトイレなど共同部分の清掃も業務のひとつ。ノロウイルスは感染者の排出物に多く含まれているため、トイレの清掃には十分に気を付けなければいけません。
感染を防ぐために入念な手洗いはもちろんですが、手順も重要です。
汚染度の低い鏡や手すり部分→汚染度の高い便器という順番で清掃を行いましょう。
手順を間違えると逆にウイルスを広げることになります。
増やさない
細菌が増殖しやすい温度を早く通過させることが、食中毒菌を増やさないために重要なポイントです。
- 常温で保存しない
- 調理器具のこまめな除菌
- 内臓はすぐに取り除く
常温で保存しない
食材の受け入れ時だけではなく、調理済みの料理も常温での保存は避けましょう。
「宴会前に仕込んでおいたサラダは冷蔵庫に入らないから、外に置いておこう」などと、常温で放置していませんか?
置いている間にも食中毒菌は増殖しているかもしれません。調理したものはすぐに提供するように心がけることが重要です。
また、食中毒菌は冷蔵庫内でもゆっくり増殖をします。前日の食材など、状態のチェックは必ず行って下さい。
調理器具のこまめな除菌
生肉などを扱う調理器具は菌が付着するため、使用前後には洗浄、そして除菌・消毒を行いましょう。
使用したまま放置すると調理器具上で菌が増殖します。調理器具を洗浄した後に熱湯をかけたり、煮沸消毒を行うよう心掛けてください。
こびりついたタンパク質汚れは菌の温床になりやすい部分。
洗剤も中性洗剤だけではなく、油汚れに強いアルカリ性洗浄剤もあると◎。
魚など内臓をすぐに取り除く
アニサキスは時間が経過すればするほど内臓から筋肉に移動します。
つまり、感染する確率を減らすには新鮮な魚の内臓をすぐに取り除くことが重要。内臓は決して生食せず、目視で確認してアニサキス幼虫を除去しましょう。
やっつける
付着した菌をやっつけるには中心部まで十分な加熱処理を行うのが一番です。
- 加熱処理を行う
- 肉の生食は避ける
加熱処理を行う
冷凍や真空パックでは菌は死にません。
カンピロバクターは冷蔵庫内でも1か月以上は生存していると言われており、食中毒菌が死滅するには、中心温度が75度になり1分以上の加熱が必要です。※ノロウイルスの場合は90度で90秒以上加熱
しっかりと中まで加熱し、食中毒菌を死滅させましょう。
生肉を提供しお客さまが加熱する際も同じです。時間や色など誰が見ても分かるように加熱する目安を明記したり、提供時の案内が必要になります。
また、しっかりと火が通った食品も、再度菌がついてしまえば意味がありません。常温で放置などせず、火を通したらすぐに提供してください。
肉の生食は避ける
生食だけではなく低温調理も食中毒のリスクが潜んでいます。
鶏肉に関しては法的な規則はありませんが、リスクを考えたら生での提供は避けるのがベスト。メニューの考案から気を付けましょう。
食中毒の対策はしっかりと
食品の取り扱いには常に食中毒のリスクが付きまといます。
新型コロナウイルスの影響で新たにテイクアウトを始めた店舗も多いですが、テイクアウトだと温度管理などさらに注意が必要なことを忘れないようにしてください。
一度食中毒が発生すると、近隣のお客様だけではなく、SNSなどで拡散されてしまうことも。
一度悪い噂が広まると、払拭することは難しく、そのまま閉店に追い込まれてしまうことも珍しくありません。
店舗スタッフ全員で改めて食中毒について学び、衛生管理の見える化を見直しましょう。
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