飲食店を営業するうえで、厨房の清掃は欠かせませんよね。飲食店の厨房清掃は、大きく分けると以下の4つの種類があります。
- コンロ周りのフード
- ダクト清掃
- 床や床下の排水管
- グリストラップの清掃
床面の掃除に目が行きがちな厨房清掃ですが、ダクトを清掃せずに放置しておくと様々な悪影響をもたらします。本記事では、飲食店のダクトの清掃について、その目的や清掃方法をご紹介します。
目次
飲食店のダクトの種類
まず、飲食店で使用されるダクトには次のような種類があります。
- 空調ダクト
- 排気・換気ダクト
- 排煙ダクト
- 厨房ダクト
空調ダクト
空調ダクトは室内の温度を一定に保ち、外気を取り入れる、排出する、循環させるなどの機能を持ち、一般家庭におけるエアコンの役割を果たしてくれます。空調効率を維持するためには定期的な清掃が必要です。
排気・換気ダクト
排気ダクトは煙や汚れた空気を排出するための管です。こちらは温度調節を必要としないトイレなどに設置されており、換気扇で空気をダクト内に送り込みます。
換気ダクトも排気ダクトに近いもので、外気と中の空気を入れ替える役割があります。換気不足はカビや結露の原因となるため、手入れを行う必要があります。
排煙ダクト
排煙ダクトは、通常時は使用されません。
火災が発生した際に機能するのが排煙ダクトで、火災によって発生する有害な煙を外へ排出する役割を持ちます。常時使用するわけではないとはいえ、火を扱う飲食店には備えておく必要があるものです。
厨房ダクト
厨房ダクトは調理で出た蒸気や熱風などを排出するダクトです。調理場から常に煙や熱気が排出されているため、ダクト内には油やほこり等の汚れが非常に溜まりやすくなっています。
厨房ダクトは重要な役割を担っているため、内部の汚れにより詰まってしまうと様々な悪影響が現れます。こまめにメンテナンスを行うのがよいでしょう。
飲食店の厨房ダクトを清掃するメリット
飲食店の厨房ダクトの清掃は衛生面、安全面の両方において重要です。ダクト内部の汚れを放置しておくと、事故や健康被害を引き起こす可能性があります。厨房ダクトを清掃するメリットには、以下のものが考えられます。
- 火災防止
- 衛生管理の向上
- 店舗イメージの向上
- 節電・設備寿命の延長
火災防止
ダクトに溜まった油の汚れは、火災を引き起こす危険性があります。
調理で使用した火がダクトに蓄積された油やほこりに引火すると、内部で火災が発生してしまいます。
ダクトに対する管理意識は低くなりがちですが、東京消防庁によって、定期的な点検が推奨されています。飲食店の経営者、設備管理者は火災発生のリスクに最大限注意を払わなければなりません。
ダクトを定期的に清掃して、引火する可能性のある油を除去しておくことで、火災発生のリスクを減らすことができます。
衛生管理の向上
厨房ダクトに油や汚れが溜まると臭気が発生します。こうした汚れた空気は、人体に様々な害を及ぼすことがあります。
代表的な例に、倦怠感やめまい、頭痛などの症状が現れるシックハウス症候群があります。一般的には化学物質が含まれた建築資材によって起こる疾患として知られますが、ホコリやカビ、微生物による空気汚染が原因となることも。
また、ダクト内部の温度が高くない場所には、害虫が住みつくでしょう。
ダクトの定期的な保守・運用によって衛生状況を向上させることが、上記の事態を予防することにつながります。
店舗イメージの向上
先述したようなダクトの清掃を怠った不衛生な厨房は、お客様にとっても悪印象であり、集客に影響が出ることも考えられます。厨房がオープンになっている場合はもちろん、そうでない場合も店内に臭気が漂ったり、壁がべたつく可能性があります。
お客様に快適で清潔なイメージを持ってもらうためにも、ダクトはしっかり清掃しておきましょう。
節電・設備寿命の延長
ダクト内にほこりや油汚れがたまれば、ダクト内を通る煙や熱気の循環が悪くなります。その結果、ダクトについているファンが負荷を受け、電気の使用量が高まります。
また、ファンに汚れが付着することで回転が阻害され、ファンを回転させるファンベルトにも負荷がかかります。ベルトに負荷がかかると、摩耗が早まり、最悪の場合、断裂することも考えられます。
電気の使用量を抑え、設備の交換費用を抑えるためにも厨房ダクト掃除は行うべきです。
飲食店の厨房ダクトの清掃方法
それでは、簡単にできる厨房ダクト清掃をご紹介します。飲食店の厨房ダクトには、天井裏に伸びたダクト内部と、空間に露出したフードダクトがありますが、以降は汚れの溜まりやすいフードダクトに焦点を絞って解説していきます。
グリスフィルターを掃除する
グリスフィルターは、フードダクトの内部に設置されているフィルターで、奥の排気設備に油汚れが侵入するのを防ぎます。グリスフィルターに油やほこりが詰まったままだと排気機能不全を引き起こすため、清掃は重要です。以下のように清掃を行いましょう。
- グリスフィルターを取り外す
- アルカリ性洗剤を混ぜたお湯(40℃)につけ置きする
- ブラシで付着した油汚れを取り除く
- 流水ですすぎ、乾燥してから取り付ける
1. グリスフィルターを取り外す
まず、グリスフィルターを取り外しましょう。グリスフィルターの取り外し方は、ダクトフードの種類にもよりますが、たいていはフロント部分の穴かツマミから外せるようになっています。
2. アルカリ性洗剤を混ぜたお湯(40℃)につけ置きする
グリスフィルターを取り外したら、洗剤と汚れを反応させるために20~30分ほどアルカリ性洗剤につけ置きします。ここでポイントなのが、お湯を使うこと。油汚れが落ちやすくなります。
3. ブラシで付着した油汚れを取り除く
油が落ちやすい状態になったら、ブラシなどで汚れを落としましょう。汚れが頑固な場合はもう一度つけ置きしてみてください。
4. 流水ですすぎ、乾燥してから取り付ける
フィルターの汚れが落ちたら、水でよくすすぎ、乾燥させてから取り付けましょう。
ダクトフード内部・外部を掃除する
アルカリ性洗剤を使って、レンジフード(換気扇)全体を拭いて掃除しましょう。
洗剤が垂れてしまう箇所では、洗剤を吹きかけた箇所にティッシュを貼り付けておくと汚れに洗剤がしっかり浸透します。
ダクトフードの清掃に使用する洗剤は、弊社セーヌラインが取り扱うキングウォーターの使用をおすすめします。キングウォーターは汚れ具合に応じて希釈できるほか、泡が立たないため洗剤をつけてさっと布などでふき取るだけでピカピカになります。スプレータイプのため、高い場所にあるダクトフードにも洗剤が届き簡単に掃除できます。
以上で飲食店のレンジフードの掃除は完了です。グリスフィルターは、掃除後しっかり乾いてから元に戻しましょう。
飲食店の厨房ダクトを清掃する際の注意点
飲食店の厨房ダクトを清掃する際は、以下のことに注意しましょう。
作業前に近くの電気部品の電源を切る
自分で厨房ダクトを清掃する際は、作業を始める前に換気扇や近くの電気部品の電源を切っておきましょう。作業中に換気扇が回っていると羽が当たるなどして怪我をする可能性があります。
さらに、洗剤や水が電気部品の基盤部分にかかると、そのまま通電してショートしてしまう危険性があります。事前に養生シートで覆っておくなどの工夫をしましょう。
足場をしっかりと確保する
厨房ダクトは高い位置にあり、清掃時に足場が必要になる場合が多いです。脚立を使う場合は、開き止め金具をしっかりとロックした状態で、天板には乗らずに安全を確保した状態で作業をしてください。
自分で掃除できない場所は業者に依頼するのもおすすめ
飲食店の厨房ダクトは、上述のダクトフード清掃だけでは取り除けない汚れが奥に付着しています。普段のケアを自分で行うことが大切ですが、手の届かない範囲はプロに任せることも重要です。
厨房やダクトまわりのクリーニングを業者に依頼する際には、必ずその業者が備品を壊してしまった、傷つけてしまった場合に保障が受けられる損害保険に加入しているかどうかを確認しておきましょう。何かトラブルがあった場合も、保険に加入している業者であればスムーズに解決することが可能です。
また、清掃中に飲食店の営業ができるかどうかも事前に確認しておくことが大切です。クリーニングの規模や工程などによっては、営業しながらクリーニングをしてもらうことができない場合もあるため、経営者の方は事前にチェックしておくべきでしょう。
定期的にダクトを掃除して厨房を清潔な店舗を保とう
飲食店の厨房まわりに汚れが溜まったまま営業することは、不衛生なだけでなく、油に引火することによる火災のリスクもあります。
業態によっても異なりますが、一般的にダクト(天井裏)は2~3年に1回、フードダクトは1年に1回程度の頻度で清掃を行うことが推奨されています。
飲食店の厨房ダクトは、先述したように自分で簡単に掃除できる部分もあるため、しっかりと保守運用を行って健全な店舗運営をしていきましょう。
アルカリ性洗剤ならキングウォーター
油汚れを落とす際に使用するアルカリ性洗剤はキングウォーターがおすすめ。高濃度のアルカリ性洗剤で、頑固な油汚れにしっかりアプローチします。原液の希釈率によって、色々な用途に使うことができます。飲食店のダクト掃除をする際は、ぜひ使用してみてください。