清潔にしているつもりでもどこからともなく発生するハエなどの害虫。
ハエが飛び回ると不衛生なのはもちろんですが、店舗のイメージダウンにも繋がります。
飲食店での害虫の発生は、殺虫剤を撒くわけには行かず、退治は困難を極めます。そのため、ハエ対策は、まずは発生させないことが重要です。
発生原因を知り、正しい対策を投じましょう。
ハエの発生原因
飲食店の天敵とも言えるハエですが、まずは発生原因を知っていきましょう。
真っ先にチェックしたいのが、食べかけの食品を放置していたり、生ごみの処理が甘かったりしないか。ハエは強い臭いを好むので、臭いの根源を断つことが重要です。
生ごみだけに気を取られがちですが、観葉植物にも卵を産むことがあるので確認してみてください。
また、ハエの種類によっては、下水や排水溝、グリストラップから湧くことも。
見落としがちですが、段ボールに産卵することもあるので、不要な段ボールはすぐに捨ててください。段ボールにはハエだけではなくゴキブリの卵なども潜んでいます。
いつまでも置いておかず、すぐに捨てるのが◎。
成長速度が速くすぐに増える
ハエは、孵化から1.5か月ほどで死んでしまいます。
しかし、羽化から4〜5日すると産卵を始め、一度に50〜150個の卵を産み、一生に産卵する量は500個とも言われています。
卵から幼虫まで1〜3日、幼虫は1週間ほどで成熟し、さなぎになります。さなぎになると4〜5日で成虫になるため、成長速度が非常に早く、ネズミ算以上の速さで繁殖していくのです。
見かけたら早めに対策を投じることの重要さが分かります。
ハエが発生することの危険性
ぶんぶんと飛び回り目障りなだけではなく、ハエの発生は実害も大きなものです。
病気の媒体となる
姿が小さくやっかいで不潔なイメージのあるハエ。イメージだけではなく、腐った食品やフンなどに好んでたかるため、病原菌を媒介するという実害も与えるのです。
飲食店でよく発生するイエバエとクロバエは以下のような病原菌を媒介する恐れがあります。
- 赤痢
- チフス
- コレラ
- ポリオ
- O157
- ピロリ菌
ハエによって人や家畜に媒介する病気は60種類以上あると言われています。
QUEEN
汚いところを歩き回り、病原菌を運搬しているなんて…
イメージダウン
どれだけ、きれいで美味しい料理を提供していても、ハエが飛び回っていたらお客様の足はどんどん遠のいていくのは当たり前です。ひとたびSNSで拡散されてしまえば、そのイメージを払拭するのは大変でしょう。
また、発生状況によっては、保健所からの調査が入り、最悪「営業停止処分」を受けることもあります。
JACK
経営にも大きな被害を与えるのが害虫です
ハエの発生を予防するには
掃除
害虫の発生には掃除が一番の対策です。
食材が床に落ちていないことは基本ですが、ほこりや小さな虫の死体にも卵を産みつけるのがハエのやっかいな部分。
つまり、掃除が行き届いていれば、住処がなくハエにとって居心地の悪い場所になるのです。
キッチンやホールはもちろんですが、細かなポイントもチェックできるよう、掃除に関するマニュアルなどを作成するのもいいでしょう。
- キッチン(コールドテーブルの下、冷蔵庫裏など)
- ホール(観葉植物、ドアのレール部分など)
- トイレ(便座裏、タンク、カバーなど)
- 洗面台(鏡や蛇口など)
- 排水溝、グリストラップ
上記のポイントは掃除を見落としやすく汚れが溜まりやすい部分です。定期的に清掃を行えるようスタッフにも徹底しましょう。
ごみを放置せず、臭いを発生させない
ハエは強い臭気を好みます。生ゴミを放置するとそのまま臭いを放ち、腐敗物や汚物に引き寄せられるようにたかるのです。
営業中だとついつい生ごみを放置してしまうかもしれませんが、これはハエ対策としてはNG。
生ごみはこまめに水を切り、頻繁に片づけましょう。
水が溜まっていると、腐敗が進み臭いを放つので、しっかり水を切ってから捨ててください。
またこれは、ゴミ捨て場でも気を付けたいポイントのひとつ。いくらゴミ捨て場が外にあったとしても、不衛生で臭いを放っているようでは飲食店の衛生管理としては好ましくありません。
できるだけ水分を少ない状態で捨て、臭いの放ちにくい環境を作りましょう。
食材管理を見直す
野菜や果物は、水洗いしてから冷蔵庫にしまいましょう。付着した土にコバエが卵を産んでいる恐れがあるため、水洗いすることで冷蔵庫内での孵化を防ぎます。
また調理後の料理をそのまま外に置いておくのもNG。害虫の観点だけではなく食中毒の予防を考えても避けてください。
入ってこないようにドアや窓にネットや網戸を張る
店内でいくら気を付けていても、外から入ってくる可能性ももちろんあります。
侵入を防ぐためにもドアや窓にネットを貼っておくのも効果的です。
新型コロナウイルス感染予防のため換気が推奨され、ドアや窓を開け放つことも多くなりました。害虫が侵入しないように策を練りましょう。
ハエが発生してしまったら
飲食店でハエが発生すると、家庭とは違いスプレータイプの殺虫剤などを店内で使用することはできません。
薬剤が店内の食器や食材についてしまう危険性があるのと、殺虫剤独特のにおいが広がるからです。
掃除に気を付けていても、ハエが発生してしまった場合、どんなことを行えばいいのでしょうか?
■見えない部分の掃除
徹底的に掃除を行ってもハエの量が減らない場合は、天井裏や冷蔵庫、厨房の裏に動物の死体や生ごみなどが落ちていないかチェックが必要です。
■対策を分けて行う
厨房などお客様から見えない部分では、原始的ですが害虫をキャッチできるリボンタイプやシートタイプの粘着剤などを使用するのも◎。
しかし、ハエが張り付くため見た目が悪いのと皮膚や髪の毛につかないように設置場所には注意が必要です。
また、粘着面にとまらないと捕虫できないので、即効性があるものでもありません。ハエが付着した状態は、見た目も衛生的にも気持ちが良いものではないので、こまめに交換しましょう。
ほかにも、誘引灯で虫を誘い込み捕獲する捕虫器を取り付けるのもおすすめ。コンパクトなものもあるので設置したい部分に合わせて選びましょう。
大量に発生してしまった場合はリボンタイプ、ゴミ捨て場には捕虫器など上手に使い分けて使用してください。
■香りでの対策は飲食店では難しい
虫が好まないハーブなどの芳香剤を設置して寄せ付けないという対策があります。
ハッカ油が代表的ですが、香りが強いものが多く飲食店で使用するのは難しいでしょう。
■プロへ依頼
殺虫剤などが使用できないため、一度発生したコバエの駆除はかなり難しいです。困ったときはプロへ依頼するのが一番です。
業者に依頼すると害虫駆除だけではなく、侵入経路の発見や再発防止策についてもアドバイスしてくれます。
発生予防が重要
飲食店でのハエ対策について解説していきました。
ハエに限らず、害虫対策の基本は掃除。普段から、発生させない、侵入させない、居心地の悪い環境をつくることが重要です。
生ごみや食材の管理を見直し、ほこりや汚れが溜まらないように清掃しましょう。
最悪の場合、営業停止を引き起こす害虫。
生ごみや食材の管理を見直し、ほこりや汚れが溜まらないように清掃し、お客様が安心して食事を楽しめるお店を作りましょう。